厚生労働省は、7月20日に開いた有識者会議(委員長・滝沢智東京大学大学院教授)で指定給水装置工事事業者制度の見直し案を示した。有効期間を5年とする更新制導入を柱とする内容。更新時には、水道法で規定している指定基準(選任する主任技術者など)の他、講習会への参加実績、指定工事事業者の業務内容を確認することになる。
現行の指定給水装置工事事業者制度は1996年の水道法改正に基づくもので、全国統一の明確な指定基準を設けたのが大きな特徴。この結果、指定工事事業者数は翌97年の2万5,000者から2013年の22万8,000者へと大幅に増加している。
その一方で、廃止や休止などの状況が反映されづらく、所在不明な指定工事事業者が約3,000者に上ることが明らかになっている。また、年間の違反行為件数として1,740件、苦情件数として4,864件が確認されている(いずれも厚労省アンケート調査より)。
このため、給水装置工事を適正に行うための資質が継続して保持されること、実体との乖離(かいり)を防止する仕組みづくりが求められていた。
今回、厚労省が示した見直し案は、指定に5年間の有効期間(更新サイクル)を設けるべきとしている。更新時の確認内容としては、水道法に基づく3項目(選任する主任技術者、工具類の保有、欠格条項)の指定基準を挙げた。
さらに、確認可能と考えられる項目として、有効期間内での講習会参加実績、主任技術者への研修機会の確保状況、配管技能者の氏名・資格・雇用関係・工事件数、指定工事事業者の業務内容(休業日、対応可能時間、修繕対応の可否、工事種別)などを列挙している。
有識者会議では、指定給水装置工事事業者制度の他、水道事業の広域連携や計画的な耐震化などについても検討を進めている。11月をめどに、水道事業の維持・向上の在り方を報告書としてまとめる方針だ。
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建通新聞社