国土交通省の新たな住宅セーフティーネット検討小委員会(委員長・浅見泰司東京大学大学院教授)は7月22日、空き家の有効活用や、民間賃貸住宅の情報提供などを通じて、高齢者や子育て世代の住宅を確保すべきとした、今後の施策の方向性(中間とりまとめ)を示した。具体的には、耐震性など最低限の居住環境の確保、既存住宅の活用などを盛っている。
高齢者・子育て世帯などを指す「住宅確保要配慮者」の住まいを取り巻く環境は厳しく、継続的な家賃負担が困難(高齢者世帯)、広い賃貸住宅に住むことは家賃負担が重い(子育て世帯)といった課題を抱えている。
その一方で、わが国には多くの空き家・空き室が存在しており、今後も増加する傾向にある。また、公営住宅の抽選倍率は高いものの、人口減少などを背景に新規住宅の大幅な供給は望めない状況だ。
このため、小委員会では、公営住宅を補完し、さまざまな住宅確保要配慮者を対象とした新たな仕組みづくりが必要との認識の下、議論を進めてきた。
中間とりまとめでは、住宅確保要配慮者向け住宅の在り方として、耐震性など最低限の居住環境を確保すること、居住支援協議会の関与により家賃債務保証を利用できること、家賃滞納時のルールを明示することなどを挙げた。
また、量的には十分な住宅ストックの現状を踏まえ、新築ではなく、既存住宅を活用した制度とするよう求めている。特に、空き家・空き室を積極的に活用できる仕組みを構築すべきとした。
この他、地方公共団体の果たす役割として、改修や家賃低廉化への支援、情報提供を目的とした指定法人による住宅登録事務などを挙げた。
小委員会では2016年度末をめどに議論の最終的なとりまとめを行う方針だ。
提供/建通新聞社