不動産協会の木村惠司理事長は記者懇談会で、国土交通省が策定した『民間建設工事の適正な品質を確保するための指針(民間工事指針)』について、「工事の各ステップで施工者・設計者・発注者の連携が深まるだろうと期待している」との考えを語った。さらに不動協として「会員各社でできることを具体的に考えてもらうよう働き掛ける」と続けた。
民間工事指針は、民間工事の受発注者が情報共有すべき「協議項目リスト」を示し、地中・設計・資材などに関連する12項目について、請負契約に先立ってリスク負担を協議するよう求めたもの。契約時点では正確に想定できない理由で追加費用や工期延長に至った場合、受発注者が適正に対応できる枠組みを整える狙いがある。
木村理事長は、この指針を活用することで、施工者・設計者・発注者が「お互いを貴重なパートナーとして捉え、共通認識を持ち、一体となって積極的に関与する関係が必要になる」と述べた上で「消費者の不利益につながらないよう、事前準備や施工段階、引き渡しに至るまで協力しなければならない」との認識を示した。
民間工事指針をめぐっては、日本建設業連合会の中村満義会長も14日、「指針の意義を真摯(しんし)に受け止め、受発注者間の適切なリスク負担のあり方に沿った契約条件の確保と請負契約の適正化を通じて、民間建設工事の適正な品質の確保に努める」とのコメントを発表している。指針を通じ、民間工事の品質確保に向けて発注者・受注者の代表が歩調を合わせた格好だ。
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建通新聞社