厚生労働省は、社会福祉法人制度改革の2017年4月1日施行に向け、改正社会福祉法の施行に伴う関係政省令を10月に公布する。社会福祉法人の認可に伴う審査基準、審査要領、定款準則、財産目録様式の見直しとともに、入札契約などの取り扱いに関する見直しについても関係政省令の公布に合わせて通知する。経営組織のガバナンス強化、財務規律の強化などを目的とした同制度創設以来の大改革が全国一斉にスタートする。
この制度改革の最大のポイントは、議決機関としての評議員会を設置すること。役員・理事会・評議員会の権限と責任を規定するとともに、親族などの特殊関係者の理事などへの選任を制限する規定を設けた上で、一定規模以上の法人には会計監査人の導入を義務付けるなど、理事・理事長に対するけん制機能を働かせる。財務諸表や役員報酬基準の公表などについても法律に明記し、事業運営の透明性を向上させる。
また、今回の大改革に至った理由の一つには、社会福祉法人の内部留保の肥大化や不透明化に対する批判があったことから、社会福祉法人としての公益性の担保を目的に財務規律も強化。社会福祉法人の内部留保の肥大化・不透明化に対する批判に応える。
具体的には、基本金と国庫補助等特別積立金を除いた、社会福祉法人が保有する全ての財産を対象に、事業に活用する土地や建物、建物の建て替え費用や修繕費用、手元流動資金など「事業の継続に必要な最低限の財産」と、施設の新設・増設や新たなサービス展開など「再投下可能な財産」に区分。
その上で、それぞれが地域のニーズに応える新たなサービス展開や人材への投資などを盛り込んだ「社会福祉充実計画」(再投下計画)を策定し、内部留保を福祉サービスの提供に再投下することを求める。
提供:
建通新聞社