国土交通省の直轄工事で始まった前払金の使途拡大を7月1日までに全国136の発注機関が導入したことが、北海道・東日本・西日本建設業保証会社の調べで明らかになった。直轄工事での導入から1カ月で、都道府県は全体の4割を超える21団体が導入に踏み切ったものの、市町村は導入が102団体と9割以上の市町村に動きがない。国交省は8日、前払金の使途拡大の適用期間などを解説する事務連絡を全国の地方自治体に送付。改めて使途拡大の内容・趣旨を周知した。
直轄工事では6月1日から、資材購入や労働者確保などの着工準備に充てる前払金の使途を現場管理費と一般管理費等に含まれる元請け経費に拡大。政府は2016年度、9月末までに予算の8割を執行する目標を打ち出している。前払金の早期支払いを促し、予算の早期執行による経済効果を高める狙いがある。
7月1日時点で前払金の使途拡大を実施した136の発注機関の内訳は、中央省庁4機関、独立行政法人など9機関、都道府県21団体、市町村102団体。中央省庁は、国交省のほか、文部科学省、環境省、農林水産省。独法などは▽東日本高速道路▽首都高速道路▽西日本高速道路▽中日本高速道路▽水資源機構▽鉄道・運輸機構▽UR都市機構―などとなっている。
前払金の使途拡大は、総務省が5月27日に地方自治法施行令を改正したことにより、地方自治体も導入できる。7月1日までに都道府県21団体、市町村102団体が導入済みだ。
国交省は、導入に至っていない自治体に改めて今回の前払金の使途拡大を周知する目的で、自治体の契約担当部署に事務連絡を送付。この中では、今回の使途拡大が16年度末までの時限的なものであり、17年度の扱いは国交省・財務省の協議結果を踏まえ、総務省が判断すると明記した。
使途拡大部分の上限については、土木工事の積算で現場管理費・一般管理費等が全体の25%を占めることを踏まえ、下請けや労働者の支払いを確保するために前払金の25%にしていると解説。また、使途拡大を導入する際に必要な工事請負契約書改正の参考となるよう、改正した直轄工事の契約書を添付している。
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建通新聞社