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2016/07/08

課徴金制度見直し 公取委の裁量許容

 公正取引委員会は、課徴金制度の見直しを検討している独占禁止法研究会の論点整理案を公表した。調査協力や違反行為への関与の度合いに応じて課徴金額を決める「裁量型課徴金制度」の導入が柱。カルテルや入札談合の課徴金算定については、算定基礎となる売上額の範囲見直し、業種別算定率・中小企業算定率の廃止などを言及。調査に協力した事業者への課徴金の減額や非協力的な事業者への増額など、公取委の裁量を許容する方向性が示された。
 裁量型課徴金制度は、独禁法違反行為に対し、事業者の調査協力の度合い、違反行為への関与度を踏まえ、当局の裁量で課徴金額を決める仕組みで、欧州連合(EU)やアジア諸国で採用されている。研究会は、現行の課徴金制度が事業活動の実態に対応できていないことに加え、制度の国際的な整合性を図る必要があるとして、2月から議論を進めている。
 論点整理案では、独禁法違反の適用が多い「不当な取引制限」(カルテル、入札談合)の課徴金算定について記述。違反行為のあった事案の売上額を基礎とする課徴金の算定範囲は、公取委が個別認定する方式に改める考えを提示。3年間に限定している売上額の算定期間を見直す可能性も示唆した。
 課徴金の基本算定率についても、公取委の裁量を高める方向性が示された。算定率は▽業種▽中小企業か大企業か▽違反行為を取り止めた時期▽繰り返しの違反か▽主導的役割―などの観点で決めるが、公取委が個別に算定率を決めることに加え、業種別算定率や中小企業算定率の廃止についても検討する。
 自主的に調査に協力した事業者に対する課徴金減免制度(リーニエンシー)に加え、調査協力の度合いに応じて課徴金を減額・増額する制度についても検討。積極的に違反行為を是正する事業者にインセンティブを与える。公取委と事業者が対立関係で事件審査が行われると、実態解明や事件処理が困難になることを防ぐ。
 公取委は、7月中旬から論点整理案のパブリックコメントを行った上で、9月下旬から研究会で各論の検討に入る。早ければ2018年の通常国会にも独禁法改正案を提出する考えだ。
提供/建通新聞社