国土交通省が都道府県・政令市の土木部長らを集め、公共工事の発注行政について意見交換する「地方ブロック土木部長等会議」の春季開催を終えた。品確法運用指針のフォローアップについては「予定価格の適正な設定」「適切な設計変更」「発注・施工時期の平準化」の3項目に指標を設けることを確認。地方自治体からは「指標を設けることで、取り組みが遅れている市区町村が自らの立ち位置を知り、発注関係事務のレベルアップを図ることができるのではないか」といった声が聞かれたという。
地方ブロック土木部長等会議は、公共工事の発注行政に自治体の声を反映させるため、春季(5〜7月)と秋季(10〜12月)の2回にわたって開かれている。春季の土木部長等会議は、熊本地震対応で開催に至らなかった九州・沖縄を除く7ブロックで開かれた。国交省からは、技監、大臣官房技術総括審議官、大臣官房技術審議官、地方整備局長らが出席し、都道府県・政令市の土木部長らと意見を交わした。
品確法運用指針の実施状況をフォローアップするため、国交省は「予定価格の適正な設定」「適切な設計変更」「発注・施工時期の平準化」の重点3項目で、発注者の規模によって対応すべき指標を設ける。発注者が統一的な指標を示すことで、特に市区町村に対して発注関係事務の改善意識を広げる狙いがある。
品確法運用指針をめぐっては、都道府県・政令市の取り組みが進んでいる反面、市区町村の動きが見えにくい面がある。土木部長等会議の出席者間では、国交省が今夏にまとめる統一指標を使ったフォローアップを通じ、市区町村の取り組みを喚起することで認識を共有した。
一方、i-Constructionに対応したICT土工について、国交省は2016年度中に直轄工事約410件を発注することにしている。都道府県では、石川県などが既にICT土工を試行することを決めているが、受発注者双方のICT化に関する習熟度が低いことなどを理由に、二の足を踏んでいるところが大半。国交省は、16年度末までに合計200回開く講習・実習を通じ、各都道府県の理解度を高める考えだ。
会議ではこのほか、地域精通度や災害発生時の対応能力に優れた「地域のインフラを支える建設企業」を育成する入札契約方式についても意見を求めた。都道府県でも、除雪を行う企業の保有機械の減少や空白地帯の発生などに対する不安は強く「インフラメンテナンスの見通しを地域単位で明らかにし、企業の設備投資や人材育成のよりどころとできないか」といった意見も上がったという。
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建通新聞社