国土交通省は、柔軟な工期設定を可能にする余裕期間制度のうち、「フレックス工期」の手続きや解釈を明確にする通達を全国の地方整備局などに発出した。フレックス工期は、発注者が指定した全体工期内で、工事開始日と工事完了日の双方を受注者が決めることができる仕組み。通達では、受注者が決めた工事完了日を延長することになっても、発注者が指定していた工期を超えなければ、簡易な手続きで工期変更ができることを明記した。
余裕期間制度は、工期の30%を超えず、4カ月を超えない範囲で、建設資材や労働者の確保に充てる余裕期間を設ける仕組み。余裕期間中は、監理技術者を配置する必要がない。
国交省は、昨年12月に直轄工事で余裕期間制度の運用を正式にスタート。発注者が余裕期間を設けて工事開始日を指定する「発注者指定方式」、受注者が発注者の指定した範囲内で工事開始日を選択できる「任意着手方式」、発注者が指定する全体工期の中で受注者が工事開始日と工事完了日を選択できる「フレックス工期」の3類型で制度を運用している。
このうち、フレックス工期は、工事開始日と工事完了日を選択できるため、受注者側の自由度は高いが、これまで各地整で活用した実績はない。通達で手続きや工期延期の解釈を明確にし、地整などに活用を促す。
フレックス工期を採用した工事では、入札公告の特記仕様書に発注者が想定する工期(余裕期間+実工事期間)を記載した上で工事を発注。落札者は、発注者が想定する工期の範囲内で工事の開始時期と完了時期を選択し、当初契約を結ぶ。
工期延長のケースでは、通常、設計変更審査会で発注者がその妥当性をチェックする。フレックス工期では、受注者が工期延期する場合でも、特記仕様書で発注者が想定していた工期内に収まれば、工期変更理由を明示した書面を発注者に提出するだけで、変更協議を行うことを認める。
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建通新聞社