国土交通省と総務省は、公共工事の入札段階や競争参加資格審査で社会保険未加入企業を排除するよう、全国の地方自治体に要請した。未加入企業の排除は、国交省直轄工事の一部で2014年に始まり、現在は全工事で未加入の元請けと1次下請けを排除している。自治体の中でも、大半の都道府県は何らかの対策を講じているが、市区町村の動きに遅れが目立つ。要請には、定期の競争参加資格申請が今秋に始まることも踏まえ、市区町村に対策の実施を促す狙いがある。
国交省は、建設業の社会保険加入率を2017年度をめどに企業単位で許可業者の100%、労働者単位で製造業と同水準以上とする目標を設けている。5月に開いた社会保険未加入対策推進協議会では、目標の期限まで最終年度となる16年度に対策を強化する方針を打ち出した。
今回の要請は、強化する対策の一つで、入札契約適正化法第20条第2項に基づき、国交省土地・建設産業局長と総務省自治行政局長の連名で都道府県・政令市に通知した。公共工事の発注者に対しては、14年9月に閣議決定した入札契約適正化指針で社会保険未加入業者の排除を求めており、通知により、あらためて自治体に対策の実施を促す。
国交省が行った入札契約適正化法に基づく実施状況調査(15年3月末時点)によると、未加入の元請け企業を排除している市区町村は全体の34.7%、下請けに対する対策を講じているのは7.9%にとどまる。都道府県を経由し、市区町村にも対策の実施を要請する。
未加入の元請けに対しては、定期の競争参加資格審査で社会保険未加入企業を有資格者名簿から排除したり、個別工事の入札段階で未加入企業を排除するよう求める。下請けに対しては、元請けに未加入の1次下請けとの契約を禁止することや、未加入の1次下請け以下の企業を確認した際、建設業許可行政庁や社会保険等担当部局に通報するよう要請する。いずれも、14年8月以降に直轄工事で実施している措置。
国交省は直轄工事について、現在は建設業許可行政庁などに通報している未加入の2次下請け以下の企業にも排除措置を拡大する方向で検討を進めている。
提供:
建通新聞社