国土交通省は、建設業法違反を指導・監督するために各地方整備局などに設置されている「建設業法令遵守推進本部」の2016年度活動方針を決めた。社会保険未加入対策の目標年次が17年度に迫る中、元請け企業に対し、立入検査で法定福利費を内訳明示した見積書(標準見積書)の活用状況を重点的に調査。基礎杭工事問題の発生を踏まえ、3月の建設業法に基づく告示や関係団体が策定した自主ルールの周知も図る。
建設業法令遵守推進本部は、建設投資の減少による競争の激化で、一括下請負、技術者の専任義務違反、名義貸し、下請けへのしわ寄せなどの法令違反が問題視されていた07年度、各地方整備局などに設置された。
15年度は1735件の通報を受け、そのうち法令違反の疑いのあるものは131件だった。通報などを端緒に行う立入検査は815件で実施。建設業法に基づく監督処分・勧告に至ったものは▽許可取消1件▽営業停止22件▽指示10件▽勧告261件―あった。
16年度は、許可業者の加入率100%を目指す社会保険加入の目標達成に向け、元請け企業による標準見積書の活用状況を立入検査でチェックする。6月から建築の大臣許可業者を中心に建設業法第31条に基づく地整局長名のアンケート調査を開始する。下請け企業に対して標準見積書の提出を求めていなかったり、提出された標準見積書を尊重していない疑いのある元請けに、重点的に立入検査を実施する。
また、「駆け込みホットライン」や「建設業フォローアップ相談ダイヤル」などに寄せられた通報などのうち、元請けから不当なしわ寄せを受けたという下請けからの通報を重要視。違反行為を行っている可能性が高い業者や繰り返し違反行為を行っている業者を優先的に選び、立入検査を行う。
提供/建通新聞社