国土交通省は27日、経営面から建設業の生産性向上を考える「地域建設産業生産性向上ベストプラクティス等研究会」(委員長・藤井一郎四国大学教授)の初会合を開いた。建設業でこれまでに取り組まれた生産性向上事例をベストプラクティスとして収集するとともに、他産業の経営や生産活動を参考にした「建設業版生産管理モデル」の構築を目指す。これらの成果を建設業経営者ら向けに12月に開設する無料のオンライン講座で活用する。
建設業は、単品・現場生産であるため、生産性の向上に取り組みにくいとされている。一方、少子高齢化による労働力人口の減少に伴い、産業界では生産性向上への機運が高まっている。将来的な労働力人口の見通しを踏まえれば、地域建設企業も、担い手確保との両輪で生産性向上に取り組む必要がある。
研究会は、中小・中堅建設企業の担い手確保や生産性向上の取り組みを支援する「地域建設産業活性化支援事業」の一環で設置した。学識経験者、中小企業診断士、経営コンサルタント、企業経営者が委員として参加する。
研究会ではまず、生産性向上のベストプラクティスを「見える化」する。地域建設産業活性化支援事業の支援対象をベースに事例を整理し、生産性向上のマニュアル化を目指す。
生産活動や経営の観点で、建設業の生産管理のモデル化も図る。中小建設企業は受注見通しが不明確で、受注計画・管理と施工計画・管理がリンクしない特徴がある。しかし、需要予測、生産計画、生産、生産統制を一連のもとの捉える製造業の生産管理モデルを参考に、建設業版生産管理モデルを構築する。
これらの成果を活用し、水平展開するための生産性向上に関するオンライン講座のカリキュラムも研究会で検討する。オンライン講座は12月にも開設し、受講者に対する効果測定や修了証の発行なども行う予定だ。
提供/建通新聞社