国土交通省は、6月1日から直轄工事の前払金の使途を拡大することを決めた。現在の前払金の使途は、下請けや資材業者に支払われる直接工事費や共通仮設費に限られているが、前払金額の25%を上限として、現場に常駐する社員や対象工事に携わる本支店社員の給与など、現場管理費と一般管理費等に充てることを認める。対象は2016年度に契約した工事。元請けの経費へと使途を拡大することで、前払金の早期支払いを促し、16年度予算の早期執行による経済効果を高める狙いがある。
前払金は、資材購入や労働者確保などの着工準備に充てるとされており、その使途は、直接工事費(材料費、労務費、機械器具賃借料、機械購入費、動力費)、共通仮設費(支払運賃、修繕費、仮設費)、現場管理費の一部(労働者災害補償保険料)に限定されている。
政府は16年度、予算の済効果を高めるため、9月末までに予算の8割程度を契約済みとする早期執行の目標を定めている。一方、保証会社の調査では、前払金が元請けの前払金専用口座に入金されて3カ月が経過しても、約2割が口座にとどまり、下請けや資材業者に支払われていない。使途拡大で、前払金が市中により早くいきわたれば、早期執行の効果が経済効果として表れやすくなる。
直轄工事で新たに前払金の使途として認められるのは、現場管理費に含まれる現場に常駐する社員の給与・社会保険の法定福利費・訓練費などと、一般管理費等に含まれる元請けの本支店の従業員給与など、元請けに支払われる経費が中心になる。
一般管理費等で対象となるのは、対象工事の施工に要する費用と定め、本支店の従業員の給与でも着工準備や受注に携わった従業員の給与に限定。設備投資や役員給料などへの支払いは認めない。
前払金を支払う割合の上限は請負金額の40%と変更しない。下請けや資材業者への支払いが滞ることを防ぐため、新たに追加した現場管理費・一般管理費等に充てる前払金は、前払金額の25%を上限とする。
使途拡大を適用する工事は、4月1日から17年3月31日までに契約を結ぶ工事(国庫債務負担行為の設定工事含む)。4月〜5月に契約済みの工事は、発注者と協議して契約書の前払金使用に関する規定を変更すれば、使途を広げることを認める。
提供/建通新聞社