国土交通省は、中央建設業審議会の基本問題小委員会で、中小建設業の合併・事業譲渡に特例措置を講じる方針を示した。合併した企業が合併効力が発生する前に建設業許可・経営事項審査の事前確認を行うことで、合併に伴う許可・経審の空白期間を解消。さらに、廃業した企業の技術者を受け入れた際、雇用期間が6カ月未満の技術職員を評価したり、廃業した企業の完成工事高を引き継ぐことができる経審の特例措置を検討していることも明かした。
中小建設業の経営者の高齢化が進み、後継者問題を経営上の課題と考える企業が増えている。国交省は、施工能力の高い企業も廃業を迫られる恐れがあるため、これらの企業が持つ技術力や人材を地域の担い手として維持する必要があると考えている。
吸収合併の場合、消滅会社が持つ許可、新設合併の場合は全ての許可で新たに建設業許可を取得する必要があるものの、許可申請は合併効力の発生後でないと受け付けないため、許可の空白期間が生じてしまう。このため、国交省は、合併効力発生前の事前確認手続きを取り入れたり、事前に認可を受けることで合併効力発生日に自動的に権利義務を承継する仕組みなどを検討。約2カ月に及ぶ許可行政庁の手続き期間の短縮を検討する。
経審でも、合併効力発生時点の完成工事高や財務諸表を提出する必要があるため、書類作成の時間的ロスや負担軽減を図る事前確認手続きを取り入れる。財務諸表の合算を合併効力発生時点でなく、存続会社の事業年度終了日時点とする特例措置の適用条件を緩和することも検討する。
中小建設業にとっては、合併が資金・手続き面でハードルが高く、廃業せざるを得ないという声も一方である。
このため、廃業した企業から技術者を受け入れた場合の経審の特例措置を新たに設ける。現在は、廃業した企業の技術者を受け入れても、審査基準日まで6カ月超の雇用関係がなければ経審の技術職員数として加点されないが、国交省の認定を受ければ雇用開始から6カ月未満でも技術職員としてカウントするほか、受け入れた技術職員数に応じて廃業した企業の完工高を引き継げるようにする。
このほか、地域要件の喪失や入札参加等級の変更など、企業再編に伴う入札制度上の制約を緩和する現行の入札契約制度も検証する。企業再編に対する特例措置(総合評価の加点、地域要件の緩和、入札参加等級の緩和など)を行っている都道府県は38団体あるが、特例が活用されていなかったり、本来の目的と異なる適用を受け、競争環境に支障が出ているケースもある。各都道府県の特例措置の効果や課題を検証し、地域の実情にあった新たな特例措置の在り方を検討する。
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建通新聞社