国土交通省は、法定福利費を内訳明示した見積書(標準見積書)の活用を徹底する目的で、元請け企業に立入検査を実施する。大臣許可業者を対象に6月からアンケート調査を行い、下請けに対する社会保険加入の指導が不十分だったり、提出された標準見積書を尊重していないことが分かった元請けに立入検査を行う。立入検査で元請けの指導責任を問うことで、社会保険加入の遅れが目立つ都市部や2次下請け以下の加入率を向上させる狙いがある。
国交省の「社会保険加入に関する下請け指導ガイドライン」では、元請けが下請けの選定時に社会保険の加入状況を確認し、未加入の下請けに加入指導を行うことを求めている。標準見積書についても、下請けに提出を働き掛けるとともに、提出された見積書を尊重して契約を結ばなければならないとしている。
国交省は、社会保険加入の目標期限である2017年度を前に、ガイドラインで定められている責任を元請けが果たしているか、建設業法に基づく立入検査で調査する。
まず、6月から大臣許可業者を対象に建設業法第31条に基づく地方整備局長名のアンケート調査を実施。施工体系上、1次下請けとして多くの業種と契約する建築業種などを重点的にチェックし、取り組みが十分でない許可業者への立入検査に入る。
立入検査では、下請け指導ガイドラインで求めている元請けによる加入指導が適正に行われているかチェックする。例えば、下請けに対する加入指導が協力会社組織を通じた周知啓発や加入勧奨にとどまらず、個別の契約まで指導が及んでいるか▽作業員名簿を活用して新規入場者の社会保険加入を確認しているか―といったことを重点的に調べる。
標準見積書の活用状況についても、2次下請け以下まで法定福利費が行きわたることをルール化するため、具体的な指示を行っているかを聞く。
国交省はまた、、6月に下請け指導ガイドラインを改訂し、法定福利費をはじめとする経費の内訳を見積書に盛り込まない行為が建設業法違反(第20条第1項)であることを明確にする。今後、改訂したガイドラインを根拠に元請け・下請けに対する標準見積書の活用を強く働き掛ける方針だ。
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建通新聞社