2016/05/24
インフラ点検・補修を高効率化 再興戦略案
政府は、「日本再興戦略2016」の素案をまとめた。名目国内総生産(GDP)600兆円を実現するため、「既存住宅流通・リフォーム市場の活性化」や「攻めの農林水産業の展開」といった10の官民戦略プロジェクトを掲げている。達成すべき成果目標(KPI)としては、リフォーム市場の規模倍増、インフラ点検・補修の高効率化などを盛り込んだ。
既存住宅市場を活性化するために設定したKPIは、リフォーム市場規模を12兆円へ、流通市場規模を8兆円へそれぞれ倍増させるとした。目標年はいずれも25年。具体的な施策として、長期優良住宅化リフォームへの支援や、建物状況調査(インスペクション)などを活用した質の確保などを挙げた。
インフラ点検・補修の高効率化は、ICTを活用した施策の一つ。センサーやロボット、非破壊検査などを用いた取り組みを進めていく。国内の重要・老朽化インフラについて、20年ごろまでに20%、30年までに全ての施設を対象とする方針だ。
攻めの農林水産業では、新たな木材需要の創出に取り組んでいく。住宅に加え、公共建築物や商業施設、中高層建築物の木造・木質化を進めるため、直交集成板(CLT)を普及させる。また、国産原木の弱みとされている小規模・分散的な供給体制を改善するため、路網の整備や、高性能林業機械の開発・導入などを行う。
再興戦略ではこの他、さまざまな規制や制度の改革を通じて市場を活性化することにしている。このため、公的なサービス・資産の民間開放を積極的に展開。運営権方式(コンセッション)を活用した公共施設などのPFI事業を拡大し、13〜22年度の事業規模として7兆円を目指す。公営住宅や文教施設などがその対象となる。
また、持続的な企業価値の向上、中長期的な投資を促す施策などを検討することにより、18年度までに年間設備投資額を80兆円にまで拡大させる考え。
再興戦略の素案は、19日に開いた産業競争力会議でまとめられた。今月中の閣議決定が見込まれている。