建設産業担い手確保・育成コンソーシアム(事務局・建設業振興基金)は、技能者の能力を可視化・体系化するための「職業能力基準案」をまとめた。技能者の教育訓練を行う際の目安として▽見習い技能者(レベル1)▽中堅技能者(レベル2)▽職長・熟練技能者(レベル3)▽登録基幹技能者(レベル)―の4段階の技能者像を設定。「共通編」と「職種別」(とび、鉄筋、型枠、左官)で、各レベルに応じた職務・技能・資格を体系的に整理している。新規入職者の教育訓練で活用する教材「建設現場で働くための基礎知識」や、入職希望者を対象とする「体験実習カリキュラム」もまとめた。
いずれも、コンソーシアム内に設置した「プログラム・教材等ワーキンググループ」(座長・蟹澤宏剛芝浦工業大学教授)がまとめた。まず、各技能者の職業能力基準案を検討した上で、基準案に沿ったプログラムや教材を作成、対象の職種や訓練対象者のレベルに応じた体系的で効率的な教育訓練を全国各地で進めてもらう。
職業能力基準案では、技能者の能力を4段階で分類し、各レベルごとの経験年数を設定。レベル1の見習い技能者の経験年数は3年、レベル2の中堅技能者は4〜10年、レベル3の職長・熟練技能者は5〜15年、レベル4の登録基幹技能者は10〜15年以上とした。加えて、将来の担い手となる入職前の生徒・未就職者を「プレ入職」に位置付けた。
共通編では、各レベルの技能者像や求められる資格などを記述。例えば、レベル3の職長・熟練技能者は、現場管理や工法・技術を元請けと協議し、作業手順を作業員に的確に指示する能力を身に付けることが要件。求められる資格は1級技能士や2級施工管理技士などとした。さらに、躯体系のとび・鉄筋・型枠・左官の4職種については、職種別の職業能力基準案も作成した。
この基準に沿って、主に躯体系のレベル1やプレ入職を対象とした教材の「建設現場で働くための基礎知識」もまとめた。建築物の構造種別、施工体制、図面、道具などを分かりやすく解説している。プレ入職を対象に合計48時間(8時間×6日間)の体験実習カリキュラムもつくった。
コンソーシアムでは、この職業能力基準案を各地域で教育訓練体系を構築する際、関連団体に活用してもらうとともに、躯体系で先行した職業能力基準を他職種にも拡大させる。教材は建設業振興基金が厚生労働省から受託した建設労働者緊急育成支援事業で試行的に活用。体験実習カリキュラムは富士教育訓練センターのプレ入職向けの訓練で活用することを検討している。
提供/建通新聞社