国土交通省は、公共工事の前払金保証の対象範囲を拡大する検討に入った。政府は景気対策の一環で2016年度の予算執行を9月末までに8割終える目標を打ち出している。前払金の使途は資材費や労務費などに限定されているため、執行された予算が行き渡らず、景気対策の支障になるとの指摘がある。同省は財務省とも協議し、前払金保証の実態を踏まえて検討するとしている。
前払金は、資材購入や労働者確保などの着工資金として、発注者から建設業者に支払われる。前払金の使途は、公共工事標準請負契約約款で、下請代金、材料費、労務費などの支払いに限定すると定められている。元請け企業は専用の預金口座を開設し、下請け企業や資材企業などに工事の進捗(しんちょく)に応じて資金を払い出す。
25日に開かれた政府の経済財政諮問会議で、民間議員がこの前払金の対象範囲を資材費や労務費以外に拡大するよう提案。同会議に出席した麻生太郎財務相は「前払金について調整することは可能」と、対象の見直しに前向きな姿勢を示した。石井啓一国交相も「実態を踏まえて検討したい」と答えた。
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建通新聞社