国土交通省は「監理技術者制度運用マニュアル」を見直し、施工体制における監理技術者と主任技術者の役割を明確にする。施工の専門性が高まったことで施工体制が複雑になり、施工責任が不明確になる恐れがあるとして、マニュアルで役割の違いを明確に記述する。例えば、品質管理では、監理技術者に下請負部分全体の確認、下請けの主任技術者に原則立ち会い確認などを行うよう求める。
建設業法に規定された監理技術者と主任技術者の役割は共通のもので、元請け・下請けの技術者の役割の違いは明確にされていない。ただ、実態としては元請けと下請け、建築と土木などで技術者の役割は大きく異なっている。
国交省はこうした実態を踏まえ、監理技術者制度運用マニュアルを見直し、監理技術者と主任技術者の役割や職務を明確にする。役割としては、監理技術者を「下請けを含む請負部分全体の統括的施工管理」、主任技術者を「請負部分の施工管理」とする。品質管理においては、監理技術者に「下請けからの報告を中心とした請負部分の確認」、主任技術者に「原則として立ち会い確認、事後確認」などを求める。
マニュアルの見直しではこのほか、大規模工事で監理技術者を補佐する技術者の積極的な配置も求める。大規模工事の現場では、一般的に工事課長が工区別、技術者が工種別に配置されていることから、これら補佐的な役割を担う技術者を監理技術者とは別に配置することを推奨する。
一方、補佐的な技術者が配置されることで責任の所在が不明確になる恐れがあるため、総括的な立場で情報集約に当たる監理技術者の人数を1人とすることも求める。
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建通新聞社