勤労者退職金共済機構・建設業退職金共済事業本部(建退共、稗田昭人本部長)が6年ぶりに行った実態調査によると、建退共制度への下請企業の加入割合が前回調査に比べ、1次で21・7ポイント、2次で17・5ポイント低下した。民間工事で共済証紙を購入していない企業の割合が元請、下請とも増加したことも分かった。
現場の工事参加企業に占める建退共加入企業の割合は1次下請が46・2%、2次下請が37・1%。大幅な増加となった前回調査から一転、いずれも20ポイント近いダウンとなっている。労働者単位では1次下請が12・7ポイント減の50・8%、2次下請が9・5ポイント減の40・7%。元請企業の労働者は76・8%が加入しており、前回から2・3ポイント増加した。
掛金を納付するための共済証紙については、公共工事と民間工事で購入額の算定方法が大きく異なっている。公共工事で元請、下請とも「工事ごとに対象労働者数と労働日数を把握」と「総工事費の一定割合」で7割以上を占める一方、民間工事では5割程度にとどまる。元請の33・9%、下請の22・2%が「公共工事については購入しているが、民間工事については購入していない」と回答しているためだ。
共済証紙の「過不足はほとんどなかった」と答えた元請は40・1%で、前回調査時より12・2ポイント悪化した。その一方で、「余る場合が多かった」が14・1ポイントアップし36・1%となった。下請では過不足状況に大きな変化は見られなかった。最多は「ほとんどなかった」の67・9%で、「足りない場合が多かった」20・9%などが続いている。
証紙を貼付する共済手帳については、「自社で預かって保管」と回答した企業が元請、下請とも9割近い。
実態調査は、企業(元請、下請)、労働者、発注機関らを対象に、昨年の9月から10月にかけて実施したもの。建退共では、建設技能労働者の確保・育成への取り組みを強化するため、今回の結果などを踏まえて、「建退共制度に関する検討会」による議論を21日にスタートさせている。今秋をめどに方向性を打ち出す方針だ。
提供/建通新聞社