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2016/04/21

建築現場の適正工期実現へ 日建連が算定ソフト

 日本建設業連合会(日建連、中村満義会長)は、建築工事の現場で1日8時間労働、完全週休2日制、長期休暇の取得を実現するための「適正工期算定プログラム」を開発した。会員企業8社独自の歩掛りなど、工期算定のノウハウを持ち寄り、建築ソフト社(東京都)の「コストナビ工程表」をベースに『日建連版』として改良した。5月20日に販売を開始する。国・地方自治体などの発注者には無償で貸与し、品確法で発注者に求められている「適切な工期の設定」に役立ててもらう。
 民間建築工事では、工事費の低減とともに短工期に関する発注者の強い要求があるため、ゼネコン側も工期短縮を切り口に受注を競っている。こうしたことが、時間外作業、休日作業、24時間作業の常態化を生み、技術者・技能労働者の就労環境の悪化につながっている。そして、若年層の建設業離れを助長する結果を招いている。
 一方、品確法の成立を受け、国土交通省官庁営繕部は日建連との意見交換の中で、同法で発注者責務と位置付けられた「適切な工期の設定」への協力を要請。日建連は、建築生産委員会の施工部会に▽大林組▽鹿島▽鴻池組▽清水建設▽大成建設、竹中工務店▽戸田建設▽フジタ―の8社で構成するワーキンググループ(WG)をつくり、プログラムの開発に着手した。
 開発したプログラムは、既存のコストナビ工程表の市販版をベースに、歩掛り、施工手順、休日(完全週休2日)、雨天休止日の設定などの項目を改良したもの。都市部で建設する5用途(事務所、集合住宅、学校、工場・倉庫、医療施設)に対応する。歩掛りは、WGを構成する8社の平均値と国交省の「建設工事標準歩掛り」から決めた。
 プログラムのユーザーが建物データを入力すると、建築工事のネットワーク工程表を自動作成できる。1日8時間労働、完全週休2日、長期休暇の取得などを実現した工程表には「日建連適正工期」と記載されるようになっている。
 日建連の木谷宗一施工部会長は「品質と安全の根底には工期と工程がある。各社が実績ベースで行っていた工期算定の適正性を判断できる″モノサシ≠ェできた意義は大きい」と話す。日建連は、今後もWGを継続し、プログラムを定期的に更新する。設備工事や地方の工事、免震構造・PC構造、超高層などへの対応も検討する。
 プログラムは税別28万円(日建連会員は20万円)で、5月20日に販売を始める。4月28日の定時総会後にプログラムの発表会も開く。
提供/建通新聞社