国土交通省は7日、交通政策審議会の「東京圏における今後の都市鉄道のあり方に関する小委員会」で、2030年をめどに実現させる「意義のあるプロジェクト」を盛り込んだ答申案を固めた。国際競争力を強化するプロジェクトとして「羽田空港アクセス線の新設、京葉線・りんかい線相互直通運転化」「新空港線の新設」など8件、地域の成長に応じた鉄道ネットワークを充実させるプロジェクトとして「東京12号線(大江戸線)の延伸」「横浜3号線の延伸」など16件を選んだ。合わせて、広域的な交通ネットワークの拠点や国際競争力向上が求められる品川駅、新横浜駅、横浜駅などを「駅空間の質的進化に資するプロジェクト」の対象に位置付けた。
2014年4月の国土交通大臣の諮問を受け、小委員会がおおむね15年後の2030年を念頭に地下鉄、民鉄線、JR在来線、モノレールなどを対象に答申案をまとめた。
小委員会では、東京圏の都市鉄道が目指すべき姿として▽国際競争力の強化▽豊かな国民生活に資する(混雑緩和、シームレス化)▽まちづくりと連携した持続可能性▽駅空間の質的進化▽信頼と安心(遅延対策の強化▽災害対策の強力な推進と見える化―の六つの視点を設定。
関係都県・政令市や鉄道事業者が提案したプロジェクトの中から、この六つの視点を満たしたものを「国際競争力の強化に資する鉄道ネットワーク」「地域の成長に応じた鉄道ネットワークの充実」「駅空間の質的進化」の3類型で整理し、答申案に盛り込んだ。
具体のプロジェクトをみると、国際競争力を強化するとした羽田空港アクセス線について、JR東日本の既存ネットワークとの直通運転による多方面と羽田空港とのアクセス利便性の向上を評価。京葉線・りんかい線の相互直通運転かについても、羽田空港アクセス線との連携で千葉方面と羽田空港のアクセスが向上するとした。
地域の成長に応じた鉄道ネットワークの充実では、東京12号線(大江戸線)、多摩都市モノレール、東京8号線、東京11号線、横浜3号線の延伸など、既存路線を活用した路線整備を中心に各プロジェクトを選んだ。
駅空間の質的進化に資するプロジェクトとしては、新宿駅の駅前広場整備や自由通路整備、横浜駅の南デッキ新設などの推進に期待するとしている。
提供/建通新聞社