国土交通省は、直轄工事の入札参加資格業者に対する指名停止の効力が資材販売には及ばないとする見解を全国の地方整備局などに示した。東日本高速道路会社が発注した舗装災害復旧工事をめぐる入札談合で、大手舗装会社10社が指名停止を受けており、アスファルト合材の供給を懸念する声が高まっていることを受けた措置。直轄工事の元請けと指名停止期間中の有資格者が下請け契約を結ぶことは従来通り認めない。
東日本高速道路会社の舗装災害復旧工事をめぐり国交省は、今月7日に独占禁止法違反で起訴された舗装会社10社に対し、東北地整管内で3〜6カ月の指名停止措置を与えた(1社は関東地整管内でも指名停止)。
直轄工事における指名停止措置要領では、元請けと指名停止を受けた有資格者が下請け契約を結ぶことを禁止している。ただ、指名停止を受けた有資格者が元請けに資材を販売することについては、明確な規定を設けていなかった。
指名停止を受けた舗装各社は、元請けとして舗装を施工するだけでなく、プラントを保有し、アスファルト合材の販売も手掛けている。このため、元請けに対する資材供給まで禁止してしまうと、供給される合材が不足し、工事の進捗(しんちょく)に影響する恐れがある。
国交省が各地整に示した見解では「工事以外の営業行為については、何ら指名停止の効力は及ばない」とした上で「工事ではない資材の販売は工事請負契約に関わる指名停止の対象外であると考えられる」と明記。合材を含む資材販売が工事請負契約における指名停止措置の制限を受けないとの見解を示している。
この見解は、直轄工事の発注者としての国交省の考えを示したものだが、合材の供給不足を懸念する他の発注者の判断にも、少なからず影響を与えることになりそうだ。
提供:建通新聞社