参議院議員の脇雅史氏は23日の参院国土交通委員会で、東日本大震災の復旧工事をめぐる入札談合問題に言及し、「平常時と同じ一般競争入札で受注者を決めた。本当に適正に競争ができる事態にあったのか」と発注方式の適否に疑問を投げ掛けた。併せて「予定価格に近い価格で落札すること自体を不正だと司法関係者が言っている。まったくの誤解だ」と訴えた。
脇氏は、近畿地方建設局長として陣頭指揮をとった阪神・淡路大震災の復旧を振り返りながら「早期復旧が最優先とされる中、現地で災害の発生状況を査定し、設計書を作るといった対応はできない。とにかく工事を発注し、後は建設業がきちんと生産してくれた」と当時の状況を説明した。
その上で、東日本大震災に伴う高速道路の舗装災害復旧工事で大手の舗装業者が入札談合を行ったとして起訴された件を念頭に、「談合とは何かをあらためて考えるべきだ」と問題提起した。
刑法や独占禁止法では、談合により公正な競争を阻害したり、不当な利益を得ることを問題にしている。
脇氏は「公正な競争は必要」との認識に立ちつつも、「予定価格が標準的な価格である以上、その範囲内で少しでも利益を上げようという商行為自体を問題視するべきではない」と主張。品確法で発注者の責務とされた適正利潤の確保についても「受注者が適正な利益を上げることができず、不当に安く受注させているとすれば、発注者が法律違反を問われる」と続けた。
さらに、東日本大震災では建設業界も「(被害を受けて)倒産するかもしれない危機的な状況にあった企業もある。自らのことを捨てて復旧工事に携わった彼らが罪に問われるとすれば、社会正義とは何なのか」と語気を強めた。
提供:建通新聞社