国土交通省は、橋や高架の道路などに関する技術基準(道路橋示方書)の改定作業に着手した。設計上で見込む安全率の細分化、長寿命化の確実性向上などを検討の基本的な方向性とし、全ての橋の長寿命化(100年以上)を目指すとしている。併せて落橋防止装置の溶接不良再発防止策に対応した見直しも行う。
技術基準の改定は、地震発生に伴う対応や性能規定化への転換といった最新の知見を反映するために行う。最近の改定内容としては、疲労や塩害に対する耐久性の考え方導入(2001年)、東北地方太平洋沖地震を契機とした設計地震動の見直し(12年)などがある。
安全率の細分化は、主桁の少数化をはじめとする新しい構造形式の開発や、コンクリートの急曲線橋など複雑な形状の採用が進んでいることを踏まえたもの。荷重係数、部材係数、材料係数などの要因ごとに細分化することで多様な条件に対応する、きめ細かな設計の実現を目指す。
また、設計上の目標期間(100年)を規定し、期間内に安全性が確保されていることを検証する。具体的には部材の耐久性を評価する期間と、荷重規模や組み合わせを評価する期間を設定する方向だ。
長寿命化の確実性向上に向けては、局部的な劣化や構造の特性による変状の進行、点検・交換のしにくい部材を有する橋の存在など、これまでの点検結果で明らかになった課題への対応を図る。例えば、PC橋のひび割れを抑制するための照査の規定などを想定している。
落橋防止装置の溶接不良への対応では、「全数検査」を明記した有識者委員会による再発防止策(15年12月)を踏まえたものとする。
改定作業は、社会資本整備審議会道路技術小委員会の下に置かれた分野別会議で実施。既に検討に入っている「舗装」「小規模附属物」「道路土工構造物」の点検要領とともに、8月開催の技術小委員会で審議する。
提供:建通新聞社