2016/03/18
安心が地方創生の礎 廃屋、早めの撤去必要(鹿児島建設新聞・かごしま〜支局長のつぶやき〜 東西南北)
廃墟と化した長崎県の軍艦島。かつては炭鉱として栄え、東京をはるかにしのぐ人口密度だった小さな島は今や観光名所としてにぎわっている。
地方では過疎化が進み廃墟・廃屋が増え、深刻な問題に直面している。鹿屋市でも今年になって商店街のタイルが全部剥がれ落ち、アーケードの隙間から歩道に散乱。先日は、国道沿いの建物の壁が剥がれ落ち歩道をふさいだ。いずれも小学生等の通学路。歩行者がいなかったのが、不幸中の幸いだった。
商店街や裏道に入ると廃墟と化した建物が四方八方にあふれている。にぎわいを見せていた商店街でも、このような姿に変貌。大隅半島を取材で走ると、同じような光景を目にすることが多くなった。
既存不適格建築物に係る勧告・是正命令制度のガイドラインもでき、所有者への指導や強制力のある措置として、建築基準法による勧告・命令等もできるようになった。また、消防法で火災の予防上危険な場所等について、改修・移転・除去等を命令でき、措置を講じないとき等は代執行できる。このほか、廃棄物処理法や道路法、密集市街地整備法、景観法など、さまざまな法律で勧告や命令、代執行される報道も増えてきた。
大隅で解体業を営む社長は「市街地や通行等に支障を与えている建物は、早めの撤去が必要」と語る。周辺に危害を及ぼす建物は、住民の安心につながる行政の対応が地方創生の礎になるのかもしれない。
(上久保芳幸・常務取締役兼鹿屋支局長)