政府は、5月下旬をめどに策定する「国土強靱(きょうじん)化アクションプラン」の2016年度版で、民間事業者の主体的な取り組みを促すための評価の実施や、地方公共団体による地域計画の策定支援といった施策を充実させる方針だ。重点プログラムの工程表の整理などを通じて進行管理にも努める。18日に開いたナショナル・レジリエンス懇談会(座長・藤井聡京都大学大学院教授)で16年版の策定に向けた基本的な考え方を示した。
民間事業者の主体的な取り組みを促すために盛り込む施策は、評価の実施や民間市場規模の推計など。先導的な取り組みを紹介する事例集の作成・周知も行う。
このうち主体的な取り組みの評価に当たっては、事業継続計画(BCP)を策定していたり、行政と災害協定を結んでいる事業者を「国土強靱化貢献団体」として認証する。公的なインセンティブを与えることで、企業・団体の積極的な参入や開発投資を呼び込むのが狙いだ。
事例集は「地域全体への貢献」(火災・延焼、浸水・山地崩壊への対応など)や「重要資産の防御」(物流施設の設置・機能強化など)といったテーマごとに整理するもので、昨年の15年度版で初めて作成した。16年度版には新規100件を含む380件を掲載する予定。
地方公共団体が策定する地域計画への取り組みでは、ガイドライン改定を通じて計画の策定を支援するとともに、計画に基づく事業の円滑な実施を後押しする。
地域計画の策定状況(3月7日現在)を見ると、都道府県は沖縄県を除く46都道府県が策定済み、または策定作業中の段階にある。市区町村レベルでは12市区町が策定し、23市町村が策定作業を進めている。
国土強靭化アクションプランは、国土の強靱化を目的として毎年度策定するもの。住宅の耐震化率や大規模地震が想定される地域の海岸堤防整備率などについて数値目標を設定している。計画の進行管理に当たっては「統合進捗指数」の活用や、重点プログラムの工程表の整理などを行う。
16年度版の策定に向けた検討は5月中旬まで進められる。これに並行して地域計画策定ガイドラインの改定作業も行われることになっている。
提供:建通新聞社