国土交通省は14日に発表した2016年度土木工事積算基準で、直轄工事の積算の工種区分に「橋梁保全工事」を設ける。現在、橋梁の補修工事は「道路維持工事」などの区分に分類されているが、実態と積算上の間接費率に隔たりがあるため、工種区分を新設する。工種区分の新設は14年ぶりで、約2億円の規模の工事では従来の積算基準による工事費を約10%上回ると見込んでいる。複数年度にわたる国債工事で発注する維持工事でも、単年度ごとに間接費を積算する方式に変更する。いずれも、メンテナンス産業の育成に向けて、受注者が適正利潤を確保できるようにする措置。
橋梁の補修工事は、現行の積算基準で「道路維持工事」「鋼橋架設工事」「河川・道路構造物工事」のいずれかの工種に区分して積算している。間接費率の乖離(かいり)に加え、補修を主な工種として発注する橋梁工事が増えているため、工種区分として「橋梁保全工事」を新設する。
橋梁保全工事の工種内容は、橋梁(鋼橋を除く)の修繕、橋台・橋脚補強工事、床版打替工、落橋防止工、伸縮継ぎ手補修工など。共通仮設費率は下限600万円で27・32%、上限3億円で6・79%に設定する。現場管理費率は下限700万円で63・1%、上限3億円で29・6%とする。4月1日以降に入札書提出期限を設定した工事から適用する。
一方、2カ年国債で発注する維持工事の積算は、2年分の積算を一つの設計として作成するため、間接工事費の対象額も2年分の額をベースに算出する。改定後は1年分ごとに積算し、各年度の設計書の合計額を予定価格とするため、間接工事費の対象額も1年分の額から算出する。
約2億円の規模の工事で見ると、道路維持工事で約6%、河川維持工事で約3%工事費が上昇する見込みだという。原則として、4月1日以降に契約する工事から適用するが、入札書提出期限が同月1日以前に設定され、予定価格を旧基準で積算した工事については、契約後に新基準で積算した額に落札率を乗じた額で契約変更する。
「ICT土工用の積算基準を新設」
16年度からi―Constructionを本格実施することを踏まえ、ICT土工用の積算基準も新設する。土工(掘削、築堤盛土、路床盛土)と法面整形工にICT建機を導入した際、建機のリース料と初期導入経費(メーカーの指導経費など)を発注者側で負担する。1万5000立方bの土工のケースでは、従来の建機との比較で約10%の増額になる見通し。
提供:建通新聞社