国土交通省は、横浜港大黒ふ頭地区と名古屋港飛島ふ頭地区の再編改良事業を2016年度に開始する。いずれも既存施設の老朽化対策と併せて港湾施設の増深改良を行うもの。また、海岸事業として高知港海岸の海岸保全施設整備にも新規着手する。南海トラフ巨大地震・津波の発生に備え、堤防改良や水門整備などを進める計画だ。
大黒、飛島両地区のふ頭再編改良は、地域の産業競争力強化を主な目的として新規着手する事業。両港の背後圏には自動車関連産業が数多く立地し、製品輸出の増加が今後も見込まれるなど、老朽化対策を含めた大規模な施設整備が求められているためだ。
このうち大黒ふ頭地区では、自動車運搬船の大型化に対応するため、地盤改良工や本体工などを内容とする岸壁改良(水深12b、延長290b)や航路・泊地(水深12b)などを行うことにしている。20年度までの計画期間内に事業費89億円を投じる。
飛島ふ頭地区の再編改良は、R1、R2の両バース(いずれも延長350b、水深15b)と航路・泊地(水深15b)などが内容。東南アジア向けコンテナ貨物の増加やコンテナ船の大型化への対応を目指して23年度まで実施する。事業費として325億円を見込んでいる。
南海トラフ巨大地震・津波への備えを進める高知港海岸については、▽第1ライン(防波堤など港湾施設)▽第2ライン(海岸線の堤防や水門など)▽第3ライン(湾内の水門、護岸など)―の三重防護の方針に基づき整備を実施していく。第1、第2ラインは国の直轄施工。第3ラインの一部は県が担う。総事業費600億円のうち直轄事業分は350億円。事業期間は31年度まで。
これらの事業は、11日の交通政策審議会・港湾分科会事業評価部会で新規事業化が審議され、了承されたもの。同部会ではこの他、岸壁の延伸や航路・泊地の拡幅などに302億円を投じる「徳山下松港国際物流ターミナル整備事業」の新規事業化も了承した。
提供:建通新聞社