国土交通省は、渇水被害を軽減するための対策づくりを進めている。地方公共団体や企業、市民らが渇水段階に応じて講じるべき対策を盛った「タイムライン」を検討しているもの。平常時や渇水の初期段階では、安定的な水資源の確保に向けた水資源供給施設の整備やダムの嵩上げなどを行うべきとしている。
昨年11月に閣議決定した「気候変動の影響への適応計画」では、渇水被害を防止、軽減するために既存施設の安全度や渇水リスクを評価し、国や地方公共団体、利水者などが協働するとともに、タイムラインの作成を進めるとしている。
タイムラインは、危機的な渇水時に貯水量が減少する中で、水の「需要」「供給」「調整・対応」に携わる各関係者が行うべき対策を示した時系列の行動計画。
このうち、「供給」側が講じるべき対策としては、安定的な水資源の確保、再生水、代替水源の確保などがある。水資源確保は、平常時や渇水の初期段階(取水制限率20%)を中心に行う。
具体的には、水資源供給施設であるダムの整備・再生(嵩上げ)、地下水の適正利用などを行うべきとしている。ダムについては堆砂除去や、他ダムとの連携など効率的な運用も求められる。
代替水源の確保に向けては、海水淡水化施設などの準備を平常時に進めるべきとした。取水制限率40%以上の「深刻な渇水」段階では、広域的な水融通などを行う。
また、「需要」側に対しては、平常時から雨水・再生水の利用促進(公共施設・サービス・交通、生産施設)や漏水対策・ネットワーク化(個人)などを求めている。
有識者会議ではこれまで、タイムラインや危機的な渇水の影響想定などについて審議してきた。今後は渇水に対応するための指針を検討していく。
提供:建通新聞社