政府は11日、復興・創生期間(2016〜20年度)における東日本大震災からの復興基本方針を閣議決定した。住宅再建やインフラ整備など、今後5年間の重点的な取り組みを明確にしたもの。閣議後の会見で木毅復興相=写真=は、「新たな基本方針に基づき、必要なことは期間内に全てやり遂げる」との考えを示した。
基本方針では今後の主な取り組みとして、住宅再建の計画通りの進展、被災地発展の基盤となるインフラ整備、観光振興などを掲げた。福島については、復興・創生期間の終了後も国が前面に立って取り組むこととしている。
具体的な取り組みを見ると、災害公営住宅や高台移転は17年度までに9割程度を完了させる。にぎわいの再生に向けては、仮店舗から本設店舗への移行や商業施設の整備を支援。また、防災集団移転促進事業で取得した用地の利活用も後押ししていく。
被災地の経済発展の基盤となる交通・物流網の構築に向けては、復興道路・復興支援道路の整備を急ぐ。18年度に釜石〜花巻間の高速道路全線と相馬福島道路の8割、19年度に三陸沿岸道路の仙台〜釜石間の9割について開通を目指す。
産業・なりわいの再生については、中小企業などグループ補助金に基づく被災施設の復旧、起業立地補助金による施設整備などに取り組んでいく。農林水産業では農地の大区画化を進める他、林業の成長産業化に向けた木材の安定供給に努めることにしている。
原子力災害からの復興に当たっては、実施計画に基づく面的除染を17年3月までに完了させるために自治体と連携。「イノベーション・コースト構想」については、廃炉の研究開発、ロボットの研究・実証などを行うための国際産学連携拠点を整備する方針だ。
基本方針の実施状況は、復興庁が年度ごとにフォローアップを実施。復興施策の進展や原子力災害からの復興状況などを踏まえ、3年後をめどに必要な見直しを行うことになっている。
提供:建通新聞社