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2016/03/10

国交省 地域支える企業確保へ新入札方式

 国土交通省は、地域精通度や災害発生時の対応能力などに優れた「地域のインフラを支える企業」を育成・確保するための入札契約方式を検討する。災害協定を締結している企業よりもさらに高度な災害対応能力がある企業や地域精通度が高い企業が、維持工事や小規模な改良工事を受注しやすい入札契約方式とする方針。総合評価による加点措置ではなく、災害への即応性など、地域インフラを支える企業の条件に合うことを参加要件とすることも検討する。
 8日に開いた「発注者責任を果たすための今後の建設生産・管理システムのあり方に関する懇談会」で、この入札方式について有識者らと意見を交わした。
 国交省は、インフラの維持管理や災害対応に備え、実力のある企業を存続させるため、地域精通度の高い「地域のインフラを支える企業」に高い評価をする新たな入札方式を検討している。対象工事は▽維持工事▽修繕工事▽交通安全対策(交差点改良、歩道設置など)▽小規模改良(堤防補強など)▽災害応急対応―など、地域密着型の工事を想定する。
 現在も、災害協定を結んだ企業に加点措置を与える総合評価方式を試行する地方整備局はある。ただ、関東地整の例で見ると、災害協定を締結する企業は管内に609社あり、総合評価の加点措置を講じても技術評価で差がつかなかったり、対象者が広すぎるといった問題意識が国交省にはある。
 このため、災害協定の審査項目などをベースにより高度な災害対応能力に関する評価項目を設け、ここで高い評価を受けた「地域のインフラを支える企業」のみが参加できる競争参加資格を設けることを検討。入り口段階で入札参加者を「地域のインフラを支える企業」に絞り込むため、競争性確保への配慮などを今後詰める。対象の工事量は、まず試行的に着手し、状況を検証しつつ徐々に拡大する。
 国交省はまた、2008年に英国道路庁が導入した「フレームワーク方式」も新たな入札方式の参考にする。同方式では、地域の道路工事のロットを複数年で示した上で「長期指名候補者」を選定。個別案件が発生した場合にこの候補者の中から簡易入札か随意契約で請負業者を選ぶ仕組み。道路事業の需要増加に対する供給不足を解消し、中小企業の育成にも貢献できる入札方式として期待されている。

提供:建通新聞社