国土交通省は9日、建設現場の生産性向上について話し合う「i―Construction委員会」を開き、同委員会の報告書骨子を提示した。骨子には、測量から維持管理に至る全工程のICT化などを推進する体制を整備する方針が示され、測量・設計・施工などの関係団体を集めた「i―Constructionコンソーシアム(仮称)」を発足させるとした。地方自治体を技術的に支援する体制も整える。また、各工程で作成する3次元データをデータベース化し、さらなる生産性向上や維持管理に活用するなどとした。
報告書の骨子では、ICT技術の全面的な活用(土工)、規格の標準化(コンクリート工)、施工時期の平準化を建設現場の生産性を向上させる「トップランナー施策」に位置付ける。
このうち、ICT技術の全面的な活用では、全ての建設生産プロセスに3次元データを導入すると同時に、設計・製造に携わる全技術者が協議して生産に当たる「コンカレントエンジニアリング」や、生産の初期工程で後工程に生じる仕様変更を集中的に検討し、品質向上や工期短縮につなげる「フロントローディング」の考え方を取り入れるとした。
各工程の枠を超えて技術革新に対応できるよう、測量・設計・施工・維持管理に加え、金融・物流・ICTなどの関連団体を集めたコンソーシアムを設立する。各業界が持つ最新技術の集積を図るとともに、i―Constructionの関連技術をアピールする見本市を開催する。
各工程で作成する3次元データをデータベース化する。施工履歴データで現場の見える化・効率化を図るとともに、将来的に点検結果の履歴などを維持管理の効率化に生かせるようにする。設立するコンソーシアムで、データ管理やデータの相互利用の在り方も検討する。
i―Constructionで取り組んだICT技術や検査基準、発注方式をパッケージ化し、海外に展開することも視野に入れる。建設業と同じ現地屋外生産分野の林業、鉱業、農業などの分野との連携も強化する。
提供:建通新聞社