国土交通省は4日、基礎杭工事問題の再発防止策として、杭工事の施工者が一般的に順守すべき「施工ルール」と、工事監理の留意点を示した「基礎杭工事における工事監理ガイドライン」をまとめた。施工ルールでは、元請けに対し、監理技術者による支持層到達の確認、施工記録の保存などを要請。工事監理ガイドラインでは、工事監理者に試験杭の施工に原則として立ち会い、確認を行うよう求めている。
施工ルールは建設業法第25条に基づいて4日に告示した。基礎杭工事問題で明らかになった施工データ流用や技術者の専任違反などを防止するため、元請による施工体制の確認、杭の支持層到達の判断、施工データ記録の保存など、既製コンクリート杭工事における一般的な施工ルールとした。
具体的には、元請けの監理技術者が杭の支持層への到達の責任を負うと明記し、試験杭の施工に原則として立ち会って到達を確認することを求めた。本杭の到達の有無は、下請けの主任技術者が判断し、元請けはその判断の適否を確認する。施工記録は下請けが確認して元請けに報告。元請けは施工記録を取得できない場合の代替手法も用意しておく。
国交省は、日本建設業連合会、全国建設業協会、全国中小建設業協会、コンクリートパイル建設技術協会、全国基礎工業協同組合連合会の関係5団体に対し、施工ルールに基づく「自主ルール」を策定することを同日付で要請した。
一方、工事監理ガイドラインは、建築設計関係団体に4日付で通知。既製コンクリート杭の適正な施工体制を補完するため、工事監理を行う際の留意点などをまとめた。工事監理者にも試験杭の施工に原則として立ち会って確認することを求め、立ち会いの際には▽杭の長さ▽位置▽支持層の土質▽支持層の根入れ深さ―などをチェックする。本杭も抽出したものを対象に立ち会い確認を行う。施工記録の確認方法などが不十分な場合には、抽出率を高めることも求めた。
提供:建通新聞社