「復興・創生期間」における取り組みの基本方針案が4日の復興推進委員会(委員長・伊藤元重東京大学教授)で了承された。2020年度までの5年間を「復興の総仕上げに向けた新たなステージ」と位置付け、住宅再建や被災地発展の基盤となるインフラ整備などを盛り込んだ。東日本大震災から6年目を迎える3月11日までに閣議決定する見通し。
会議に出席した木毅復興相=写真=は、方針案を「皆さんの英知が結集したもの」とし、今後の復興に向けて「被災者一人一人、地域、業種ごとの状況を踏まえ、きめ細かな支援を行う」との考えを示した。
方針案では住宅再建や復興まちづくりについて、計画通りの進捗を目指す。具体的には災害公営住宅や高台移転の約9割(戸数ベース)を17年度までに完了させる予定。また、仮店舗から本設店舗への移行や商業施設の整備、防災集団移転促進事業で取得した用地の利活用を支援する。
交通・物流網の構築に向け、18年度に釜石〜花巻間の高速道路全線と相馬福島道路の8割、19年度に三陸沿岸道路の仙台〜釜石間の9割を開通させる。港湾関係では、小名浜港の国際物流ターミナル整備を18年度までに行う。
原子力災害からの復興に当たっては、実施計画に基づく面的除染を17年3月までに完了させるため自治体と連携する。廃炉研究開発、ロボット研究、国際産学連携などの拠点となる「イノベーション・コースト構想」では、環境・リサイクルや再生可能エネルギー、農林水産など各分野のプロジェクトの具体化も図る。
震災の記憶と教訓を後世に継承するための国営追悼・祈念施設について、20年度末をめどに岩手県と宮城県に設置する。福島県への設置は早期の事業化を目指す。
提供:建通新聞社