全国中小建設業協会(全中建、松井守夫会長)がまとめた会員実態調査によると、2015年度に技術者を新規採用した企業は4割強、技能者では3割未満にとどまった。年代別では40代以上が半数近くを占めるなど、若年層を中心とした人材確保に苦しむ中小建設業の姿が浮き彫りとなっている。また、歩切りについては、一部の県や市などの取り組みが不十分と感じていることが分かった。松井会長ら協会幹部は26日に国土交通省を訪れ、谷脇暁土地・建設産業局長らに調査結果を報告=写真。人材の確保・育成などに向けたさらなる取り組みを求めた。
昨年の10〜12月に実施した今回の調査は、全中建会員団体の傘下会員企業に新規採用や歩切り、担い手3法の浸透状況を尋ねたもの。有効回収数は650社、回収率は28%だった。
15年度の採用状況を見ると、「採用していない」と回答した企業が全体の半数を超えており、技術者で57%、技能者で75%に上る。会員からは「応募がなく、若者の採用は厳しい」「業界のイメージアップが必要」といった声が寄せられている。
人材を採用した企業であっても、人数は「1人」が最も多い。また、女性の採用については、全採用者数の1割未満にとどまった。今後の予定を聞くと、半数超の企業が技術者の採用を希望しており、求める人材の年代は20代が最多。10代と30代を合わせると、8割を超える企業が若者を採用したいと考えていることが分かった。
歩切りについては、国交省による徹底的な指導もあり、「ほぼなくなった」との回答が多かったという。ただ、都道府県や市の取り組みが進んでいない、と感じた会員もいる。会員企業が昨年4〜10月に受注した工事の状況を尋ねたところ、歩切りが「ある」と会員企業が感じたのは、3省13都道府県39市4町となった。
担い手3法の浸透状況については、歩掛かりの見直しや、設計変更への適切な対応などを求める声が多い。また、週休2日では、工期設定に問題があるとの意見が寄せられている。
協会は実態調査の結果の他、ブロック別意見交換会で出た要望事項も国交省に伝え、対応を求めた。
提供:建通新聞社