2級土木施工管理技士や小型移動式クレーンなどの資格取得講習を通じてスペシャリストの育成を目指すとともに、教員のスキルアップにも力を注ぎ「最強工業高校宣言」を掲げているのが長崎県立大村工業高校だ。19日に建設業振興基金が開いた建設業経営者研修で、同校の毛利公浩教諭が「若者の心をつかむ」と題し、若者気質や職業観について講演した。
同校では生徒たちが在学している間、多くの講習や試験を受けさせている。毛利教諭いわく、「幸せになるための資格取得」で、例えば、第一種電気工事士試験の合格者数は高校日本一を誇る。また、鹿町、佐世保の両工業高校とともに、県の建設産業人材育成連携推進委員会に参加し、実際の現場での見学・実習や、熟練技術者による実践的指導などを行っている。
こうした取り組みによって、「入学すれば、多くの資格を取れる」と、県内の工業高校への評価が高まっている。毛利教諭が教鞭をとっていた鹿町工業高校は、かつて定員割れだった受験倍率が大幅にアップしたという。
最近の若者気質については、「お金だけで生徒は動かない。自分の一生を引き受けてくれる、と感じたところに就職する」とし、「われわれ教員もそういった企業に送り込みたいと考えている」と述べた。また、社員の教育体制が整っている企業が「『将来が描ける』として人気が集まる建設会社」であり、「すでに入職している先輩たちのことも参考にする」という。このため、企業による継続的な人材確保は「最初の一人目をいかに採用し、育成するかにかかっている」と話した。
生徒たちを指導する教員側の状況はどうか。「現場経験のある人間はたくさんいるが、1〜5年間の経験がほとんど」のため、スキルアップ研修に力を入れている。鉄筋や足場、型枠、圧接などを2日間にわたって学び、それを生徒たちに還元する仕組みだ。「大人が変われば、子どもはすぐに変わる」と、研修の重要性を強調する。
さらに、「10代後半での出会いは必ず人を変える。だからこそ、われわれの責任は大きい。寄り添って育てることが重要だ」と、教員の果たす役割の大きさを語った。
提供:建通新聞社