国土交通省と総務省は、社会資本整備総合交付金などを充当する交付金事業に、施工時期などの平準化を目的とする「ゼロ債務負担行為」の設定を可能とする通知を全国の地方自治体に送った。都道府県・市町村が単独事業としてゼロ債を設定し、交付金の内示後に国費を充当することを認める。制度上はこれまでも可能だったが、今回の通知で初めてこうした運用が可能であるとの国の見解を示した。自治体事業でゼロ債の活用を促し、4〜6月の施工量の増加を狙う。
国交省土地・建設産業局建設業課長と総務省自治行政局行政課長の連名で、17日に全国の自治体に通知した。国交省は各地方整備局長にも大臣官房技術審議官名で通知し、ブロック発注者協議会を通じた自治体への周知も求めた。建設業団体(105団体)にも同じ通知を参考で送付している。
通知の対象は、社会資本整備総合交付金と防災・安全交付金で国費を充てる自治体発注の工事と調査・設計業務。自治体がゼロ債を設定する事業では、12月議会で承認を受け、翌年の1〜3月に入札・契約手続きを終えるのが一般的な流れ。年度内に事業に着手できるため、年度当初の施工量を確保する効果がある。
ただ、交付金を充当する事業では「国に承認されていない事業には予算を計上できない」などと判断し、ゼロ債の設定を控える自治体がほとんど。これに対し、両省では社会資本整備総合交付金などを配分する前提となる5カ年の整備計画が承認されているため、ゼロ債を設定しても差し支えないとの見解を提示。
自治体に対し、単独事業としてゼロ債を設定し、交付金の内示後に国費を充当することが可能であることを明確にした。16年度にこうしたゼロ債の運用を促し、17年4〜6月の施工量を確保してもらう。
通知ではこの他、施工時期などの平準化を図る施策として、適切な工期の設定、余裕期間の設定、繰越制度の適切な活用などの実施も合わせて求めている。
提供:建通新聞社