国土交通省は17日、建設産業の担い手確保・育成をテーマに建設業4団体との意見交換会を開いた。意見交換会は、公共工事設計労務単価の引き上げを技能労働者の処遇改善につなげる意識を官民で共有する狙いで開いたもの。国交省は、建設業の技能労働者が前年から10万人減の331万人となり、このうち55歳以上の高齢者層が約5万人減ったことを引き合いに、高齢者の大量退職が本格化しつつあると提示。宮内秀樹大臣政務官は「労務単価の引き上げ分を下請けにも浸透させる環境をつくってほしい」と技能労働者の賃金水準の確保を促すとともに、法定福利費の確保による社会保険加入の促進を求めた。
意見交換会には、日本建設業連合会(日建連)、全国建設業協会(全建)、全国中小建設業協会(全中建)、建設産業専門団体連合会(建専連)の4団体が参加した。
国交省は冒頭で、建設業就業者が5万人減の500万人、うち技能労働者が10万人減の331万人となった2015年労働力調査の結果を説明。年齢階層別の技能労働者の推移は、55歳以上の高齢者層が4万8000人減の111万9000人と大きく減少した。29歳以下の若年層も7000人減の35万7000人と、高齢者の大量退職と少子化が数字に表れ始めた格好だ。
これに対し、各団体は、社会保険加入の促進、休日の拡大、戦略的広報、女性活用など、担い手の確保・育成に引き続き取り組むと表明。全建の北川義信労働委員長は「品確法改正のおかげで企業全体の利益は向上しているが、(建設投資における)地域間格差は依然大きい」と、若年層を雇用するための課題を指摘。
全中建の小野徹建設業振興対策委員長は「下請けの実状を調べても、競争の中で仕事を受注し、赤字分を補填(ほてん)する状況にある」とした上で「さらなる安定した受注と労務単価の引き上げが必要だ」と求めた。
日建連の早川誠技能者確保・育成部会長は、休日確保の重要性を訴え「当初は4週8休を目指した契約が施工条件通りに進まず、現実に休日が確保できていない」と問題提起。「臨機応変に工期延長できるルールをつくれば、現場担当者も対応できるのではないか」と提案した。
建専連の才賀清二郎会長は「登録基幹技能者を評価する仕組みが整っていない。技能労働者が夢と希望を持てるよう、評価制度を整備してほしい」と国交省に要望。また、コンクリート打設の技能労働者を対象に土工の登録基幹技能者を創設する方向で検討していることも明かした。
提供:建通新聞社