公正取引委員会は、談合やカルテルの調査への協力の程度を課徴金額の決定に反映させる「裁量型課徴金制度」の導入を検討する。2006年に施行された改正独占禁止法で導入された課徴金減免制度(リーニエンシー)は、自主的に調査に協力した最大5社が減免措置の対象。同制度の対象を拡大することに加え、事業者の支払い能力に応じて課徴金額を決めるなど、より実態に合った制度の見直しを検討する。
独占禁止法の課徴金制度の在り方を有識者で議論する「独占禁止法研究会」の初会合を23日に開く。研究会の議論の成果を踏まえ、必要があれば独禁法を改正する。
リーニエンシーは、入札談合やカルテルに関与した事業者が自主的に申告して調査に協力すると、課徴金の免除や減額が受けられる仕組み。公取委の立入検査以前に申告した事業者は全額を免除され、立入検査後の協力も含めて最大5社までが課徴金の減免措置を受けることができる。
ただ、6社目以降の事業者にとっては自主的に申告するインセンティブがなく、調査への協力が得にくいという。
研究会ではまた、事業者の支払い能力の有無に関わらず、企業規模に応じて課徴金が課される現行制度の見直しも論点となる。硬直化した制度を実態に沿った制度へと見直すことで、事業者による自主的なコンプライアンスの推進を促すとともに、諸外国の課徴金制度と国際的な整合性を向上させる狙いもある。
提供:建通新聞社