国土交通省は5日、建設現場の生産性を向上させるi−Constructionの一環として、ICT技術の全面的な活用をテーマに産学官が意見を交わす「ICT導入協議会」の初会合を開いた。出席した関係団体は、ICT建機など関連機器の購入・レンタル、2次元の設計図面の3次元データへの変換などに掛かる費用負担を課題に挙げ、導入初期に支援措置を講じるよう要請。講習会の開催などによる技術者の人材育成に対する支援も求めた。国交省は、こうした業界側の声も反映して3月中に基準類を整備し、4月以降、直轄事業の土工で施工者提案によるICT技術の活用を順次進める方針だ。
ICT技術の全面的な活用は「規格の標準化」「施工時期等の平準化」とともに、国交省がi−Constructionで打ち出した施策の柱。直轄の土工では、情報化施工によって施工段階のみで3次元データを活用してきたが、測量から検査に至る事業の全プロセスに3次元データを活用することで、生産性の大幅な向上を目指す。
国交省は、関係する12団体などを集めた協議会で、3次元データを全プロセスで活用するための基準類の大枠を説明。国交省はまず、3次元設計データを契約図書に位置付け、3次元データによる施工・管理・検査を可能にする。数量算出も3次元データで行うことを認める。
代表管理断面で測定していた出来形は、ドローンなどの写真測量で得られる面的な竣工形状で評価できるようにする。このため、施工の途中段階で出来高を算出することが容易になり、部分払いを請求する受注者の省力化も図ることができるという。3次元データを活用した検査にも対応し、実地による出来形検査を簡略化する。
協議会に出席した関係団体はこうした効果に期待感を示す一方、導入初期段階における支援措置の必要性を訴えた。3次元データの活用で自動制御が可能になるICT建機のレンタル費用は従来の建機の1・5〜2倍で、高額な費用を予定価格に積み増すことを求める声も上がったという。
また、受注者側の技術者を育成するための講習会を開催したり、発注者側の技術者にも理解を浸透させることも求めた。
国交省は、3月中に土木工事施工管理基準をはじめとする基準類を整備した上で、4月以降、直轄事業の現場でICT技術を活用していく。新たに測量を行う現場からドローンなどによる3次元測量を実施するとともに、施工者提案によるICT建機の活用を認める方針だ。
提供:建通新聞社