東日本大震災の被災3県と仙台市の発注工事における入札不調・不落の発生率(2015年4〜12月)が前年同期比5・2ポイント減の16・4%となったことが、国土交通省の調べで分かった。国交省は、復興事業が進んだことで前年同期に比べて発注件数が1割減少したことに加え、予定価格に実勢価格を反映させる円滑な施工確保対策などの効果も挙がったとみている。
国交省が被災3県と仙台市の不調・不落の発生率を調べた。各県・市別の発生率は▽岩手県10・2%(前年同期比10・5ポイント減)▽宮城県21・8%(0・1ポイント減)▽福島県15・7%%(5ポイント減)▽仙台市20・7%(4・2ポイント減)―となった。
岩手県は13年8月に内陸地方を中心に発生した豪雨災害と震災の復旧・復興が重なり、発生率が高止まりしていたが、15年度に入り半減。一方、宮城県は復旧・復興事業が依然として多く、発生率の低下も限定的だ。
被災地の発生率は、全国の都道府県工事における発生率(15年度上期4%)と比べると依然高いが、国交省はロットの大型化などの再発注時の工夫でほぼ契約に至り、積み残しはないとしている。
また、発注件数が減る1〜3月は入札不調・不落の発生率も下がる傾向にあり、被災3県・仙台市の15年度通年の発生率もさらに下がるとみている。同省では、政府の15年度補正予算の成立と公共工事設計労務単価の引き上げに合わせ、1月22日に全国の地方自治体に円滑な施工確保対策の徹底を通知している。
提供:建通新聞社