国土交通省は、不動産投資信託(リート)をインフラ分野に活用する際の課題などを実務者と話し合う「インフラリート研究会」を立ち上げる。すでに証券化されたインフラ資産の投資先をインフラ分野に拡大し、深刻なインフラ老朽化の解消につなげる狙いがある。2日に初会合を開く。
国交省の試算によると、インフラの維持管理・更新費は13年度の約3兆6000億円が、20年後には最大で約5兆5000億円まで増加すると見込まれており、財源の確保が喫緊の課題になっている。
民間資金をインフラ整備に呼び込むPFI事業は、公共部門が建設・運営費などを事業者に支払う「サービス購入型」が全体の73%を占め、独立採算型は5%にとどまっている。
一方、国内のリート市場は、オフィスや住宅、商業施設を中心に成長しているが、インフラへの投資実績はない。諸外国では、米国でインフラ分野に特化したリートが6銘柄があり、時価総額ベースで市場の7・8%を占めている。すでに運営されている通信・電力・鉄道分野で、新規事業への投資、負債の削減を目的とする資金調達の手法の一つとして、組成・転換が行われているという。
研究会は、こうした諸外国の事例を踏まえ、すでに他分野で発行され、投資家によって購入された証券がさらに投資家同士で取り引きされる「セカンダリー市場」を形成するための課題などを整理する。3月中に報告書をまとめる予定だ。
提供:建通新聞社