基礎杭工事問題を受け国土交通省は29日、杭工事で一般的に順守すべき「施工ルール」となる告示案をまとめた。29日に開始したパブリックコメントを反映し、2月中に施行する。既製コンクリート杭の適正な施工を確保するため、元請けによる下請けの主任技術者の配置状況の確認、元請けの監理技術者による支持層への到達の確認、施工記録の保存などを求める内容。関係する建設業団体に対し、この告示案に準拠した「自主ルール」の策定を求める。
告示案は建設業法第25条の規定に基づいてまとめたもの。基礎杭工事問題を受けて設置した国交省の「基礎ぐい工事問題に関する対策委員会」が、再発防止策の一つとして国交省に策定を求めていた。
告示案では、基礎杭工事問題で明らかになった施工データ流用や技術者専任違反などを防止するため、元請けによる施工体制の確認や杭の支持層到達の判断、施工データ記録の保存などに関する杭工事に関わる元請け・下請けが順守すべき一般的なルールを規定した。
施工体制に関しては、元請けが主任技術者の配置状況・資格が建設業法に違反していないかを確認し、違反した場合に是正を求める。設計図書に記載された地盤条件や施工方法は施工前に下請けと共有する。施工中に地盤条件が異なることを発見した下請けには、書面による元請けへの通知も求める。
杭の支持層への到達の責任は、元請けの監理技術者が負うと明記。試験杭は、元請けが下請けの主任技術者の立ち会いの下で確認。本杭の到達の有無は下請けの主任技術者が判断し、元請けはその判断の是非を確認する。
下請けは施工記録を確認して元請けに報告する。元請けは、施工記録を取得できない場合の代替の手法も確認する他、施工記録を保存する期間をあらかじめ定めておく。
この告示に準拠した自主ルールの策定を関係する建設業団体に求める。すでに日本建設業連合会が「既製コンクリート杭施工指針(案)」をまとめている他、全国建設業協会、コンクリートパイル建設技術協会、全国基礎工業協同組合連合会などがルールを策定する見通しだ。
提供:建通新聞社