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2016/01/19

建設業の構造課題解決へ「現場で機能する制度に」 国交省・谷脇土地建設産業局長

 国交省 谷脇国土交通省の谷脇暁土地・建設産業局長が建設専門紙などの共同インタビューに応え、杭工事の施工データ流用問題の再発防止策や今後の議論の方向性を語った。谷脇局長は、データ流用問題で明らかになった建設業の構造的な課題の解消に向け「現在の建設業の仕事や役割の変化を整理した上で、建設業を取り巻く制度が現場で機能しているのか検証したい」と議論の進め方に言及。同省は、中央建設業審議会・社会資本整備審議会の基本問題小委員会を2年ぶりに開き、課題解消に向けた議論を本格化させる。

 基礎ぐい工事問題に関する対策委員会は、施工データ流用問題で明らかになった建設業の構造的な課題に対し「元請けと下請の責任・役割の明確化と重層構造の改善」「技術者や技能労働者の処遇・意欲と資質の向上」「民間工事における役割・責任の明確化と連携強化」の3点に取り組むよう国交省に提言した。

 国交省は今後、基本問題小委に場を移し、対策委の指摘を踏まえた具体策の検討に入る。谷脇局長は「建設業の仕事はかつての新設中心から老朽化対策に変わりつつあり、災害対応など求められる役割も幅広くなっている」と説明した上で「こうした建設業の現状を踏まえ、指摘された課題をどう解決するか考えたい」と話した。

 今回の問題では、重層化している施工体制の中で、元請けの統括的な管理責任が果たされていないことがクローズアップされた。谷脇局長は「品質を保つ責任を一義的に負うのは元請け」とあらためて言及。特に民間建築工事で「買主に対する責任を負うデベロッパーと建設業が連携し、消費者に良質な成果を提供できる仕組みをつくらなくてはならない」と述べた。

 具体的には、受発注者間の請負契約で建設業法違反となる事例などを明示した「発注者・受注者間における建設業法令遵守ガイドライン」を例示し、「ガイドラインが現場で機能したものとなるよう、基本問題小委の意見も聞きながら再検証したい」と明かした。

 また、横浜市のマンションで建設業法の監督処分の対象にもなった一括下請けについては「代理店の役割を担う企業は請負契約でない契約関係に位置付けるのが適正ではないか。施工への実質的な関与の考え方を整理する必要がある」との考えを示した。