国土交通省は、橋梁の修繕設計などに工事の施工予定者が関与する「修繕工事の技術的課題に対応した入札契約制度」の試行を検討している。設計段階で現場条件を正確に把握する必要がある橋梁修繕などで、設計段階で施工予定者をあらかじめ選定し、足場の設置や詳細調査(コンクリートのはつり作業など)といった技術協力を担ってもらう。技術提案・交渉方式の「技術協力・施工タイプ」として、プロポーザル方式で優先交渉権者(施工予定者)を決める。
橋梁などの修繕では、足場を設置しないために損傷の状況が正確に把握できず、着工後に修繕設計で把握しきれない現場条件が発覚し、大幅な工事内容の変更が生じるといった課題があるとの指摘がある。
同省が6月にまとめた「技術提案・交渉方式の運用ガイドライン」では、同方式の適用工事として「発注者が最適な仕様を設定できない工事」を想定。橋梁の修繕工事などで顕著な技術的な課題を解消するため、技術提案・交渉方式のうち、施工予定者に技術協力を求める「技術協力・施工タイプ」などの適用により、この課題を解消する狙いがある。
具体的には、点検・診断の結果、足場の設置が必要と判断した修繕設計の実施中に修繕工事の優先交渉権者(施工予定者)をプロポーザル方式で選定。優先交渉権者は修繕設計に対し、足場設置などの「補助協力」や独自のノウハウ・工法技術に基づく「技術協力」を行う。設計者は、補助協力や技術協力を踏まえて対策工法の最適案を選定し、細部構造や数量算出を行う。
発注者と優先交渉権者は、設計成果を見積もり条件として、修繕工事の価格交渉を行う。交渉が合意に至れば、発注者が合意内容に基づいた予定価格を作成し、優先交渉権者と随意契約を結ぶ。交渉が成立しなければ、プロポーザル方式で選んだ次順位者との交渉に移行する。
また、足場の設置などが設計段階で必要といった同じ課題を抱える橋梁修繕では、技術提案・交渉方式の「設計・施工一括タイプ」として発注することもあり得るという。今後、修繕設計の完了前に優先交渉権者を選定する際の評価手法などを整理した上で、適用する案件を選ぶ
提供:建通新聞社