国土交通省の直轄工事で、現場の週休2日を試行するモデル工事が2015年度末までに60件程度試行される見通しだ。各地方整備局などは、モデル工事を順次発注し、受発注者が協議して週休2日の実現に取り組んでいる。中部地整では、完全週休2日を実施する参加者を入札段階で評価するともに、休暇取得率が8割未満の場合に工事成績を減点する措置も講じている。同省は、これら各地整などのモデル工事の実績を踏まえ、週休2日と適正な工期の関係性などを検証する。
各地整などが15年度に入って発注した週休2日のモデル工事は▽東北4件▽関東18件▽北陸4件▽中部5件▽中国9件▽四国6件▽九州3件▽沖縄2件―の計51件。
近畿地整はこれまでにモデル工事を発注した実績はないが、今後、分任官工事の中から各府県1〜2件のモデル工事を抽出する予定で、これを含めるとモデル工事の試行件数は前年度の6件から約10倍に増える見通し。北海道開発局はこれまでのところ実績はないが、16年度の試行に向けて検討している段階にある。
各地整は、入札公告時点で週休2日のモデル工事であることを入札参加者に提示し、受発注者が協議して休日を定めている。休日に現場作業がある場合には、受注者の届け出に基づいて発注者が作業を行うことを認める。
ただ、中部地整のモデル工事では、入札参加者が完全週休2日の確保を選択し、完全週休2日の確保を前提とする「概略工程表」を参加申請時に提出させ、完全週休2日を選択した参加者は、総合評価の「施工体制確保の確実性」の評価項目で15点満点中15点を獲得できる。完全週休2日を選択しなければ、実質的に受注が難しくなる厳格な制度設計になっているという。l
中部地整はさらに、完成週休2日の取得率が8割未満の場合は、工事成績評定で最大10点を減点する。一方、モデル工事の発注を検討している近畿地整では、土日完全休日の取得実績を確認し、取得割合に応じて工事成績評定で1〜5点を加点する見込みだ。
現場の週休2日は、改正品確法の運用指針にも盛り込まれ、直轄工事では現場の職場環境を改善する取り組みの一つとして、モデル工事を試行している。国交省は、各地整などのモデル工事で得られた課題を整理し、週休2日を実現できる適正な工期の確保につなげる考えだ。
提供:建通新聞社