国土交通省は、昨年10月の環太平洋パートナーシップ(TPP)協定の大筋合意が建設業・不動産業に与える影響を解説する説明資料をまとめ、ホームページで公開した。TPPで国内の公共工事の市場は開放されることはなく、不動産取引の制度変更もないとする一方、WTO政府調達協定に非加盟だったTPP参加国政府の市場開放、税関手続きや規制の透明性向上、外資出資利率規制の緩和などを理由に、日本企業の海外進出の機会が増えると解説している。
TPPは、アジア・太平洋地域の12カ国が参加する貿易・経済活動のルールとなる経済連携協定で、昨年10月に大筋合意に至り、2年以内に発効される見通し。国交省は、TPP協定で国内の建設・不動産市場が開放されるといった誤解が一部にあるとして、説明資料をまとめた。
政府調達については、既存のWTO政府調達協定の約束内容・調達基準額・対象機関とも同じ水準で、地域の建設企業が公共事業を受注する機会が減少することはないと解説。一方、TPP参加国の政府調達は、これまでWTO政府調達協定に非加盟だったベトナム、マレーシア、ブルネイなどで段階的な市場開放が見込まれる。
このほか、税関手続きが貨物到着から48時間以内、関税分類などの事前教示制度の導入により、海外で建設工事を手掛ける建設企業が国境を越えて資機材を調達しやすい環境が生まれるという。
外資出資比率をはじめとする海外進出の際の規制も緩和される。マレーシアでは、外国銀行の支店数の上限が拡大するため、日系銀行の進出が増え、建設企業の資金調達が容易になる可能性もある。また、同国では、機器・設備のリース・レンタルサービスが自由化されるため、日本の建機リース・レンタル会社が進出することも可能になる。
提供:建通新聞社