国土交通省は、住宅団地再生の要件緩和を図る「都市再生特別措置法等改正案」や、踏切道の改良方法を拡充する「踏切道改良促進法等改正案」など6法案を開会中の通常国会に提出することを決めた。中古住宅流通の活性化を目的とする「宅建業法改正案」では、重要事項説明でインスペクション(建物検査)の実施の有無や調査結果を買主に説明することを宅建業者に義務付ける。
都市再生特措法は、建築基準法、都市再開発法などと一体で改正する。
国際競争力の強化を図るため、民間都市開発推進機構が国際会議場の整備費に金融支援を行うことができるようにするほか、災害発生時に複数のビルにエネルギーを供給するため、発電機・ボイラー・熱導管など供給施設の所有者とビル所有者による協定制度を創設する。
老朽化した住宅団地の建て替えを推進するため、土地の共有者のみで市街地再開発事業を施行する際の要件を共有者の全員合意から3分の2の合意に緩和する。
踏切道改良促進法等改正案では、改良すべき踏切道の指定期限を5年間延長するとともに、踏切交通を分散させる駅の自由通路や駐輪場の整備を同法に基づく対策に位置付ける。道路管理者、鉄道事業者、地域の関係者による協議会制度を創設し、地域の実情に合った段階的な対策を進められるようにする。
宅建業法改正案には、中古住宅取引時のインスペクションの活用を促進するため、宅建業者の役割を強化する目的がある。媒介契約を結ぶ際、宅建業者がインスペクション業者をあっせんし、売主・買主にインスペクションの実施を促す。加えて、重要事項説明でインスペクション実施の有無と調査結果を買主に説明すること、売主・買主が調査結果を確認したことを売買契約書類に記載することを義務付ける。
また、同省は「港湾法改正案」を提出し、洋上風力発電施設を港湾区域に設置する際の公募による占用許可手続きを創設する。このほか、物流分野の労働力不足への対応を図る「物流総合効率化法改正案」と、船舶の水路航行の通報手続きを簡素化する「海上交通安全法改正案」を提出する予定だ。
提供:建通新聞社