政府は国土強靱(きょうじん)化に主体的に取り組む民間事業者を評価する認証制度を立ち上げる。事業継続計画(BCP)を策定していたり、行政と災害協定を結んでいる事業者を「国土強靱化貢献団体」として認証、公的なインセンティブを受けることができる仕組みをつくる。政府は、認証制度の創設などで、企業の積極的な参入と開発投資を呼び込み、国土強靱化の民間市場規模を2020年に最大で13兆5000億円まで拡大できると見込んでいる。
企業の事業継続に関する認証制度にはISO22301などの国際規格があるが、要件が厳しいため、取得する企業は限定される。民間の主体的な取り組みを促すため、民間のモチベーションを高める環境を整える必要があるとして、外部の第三者組織による認証制度を創設する。
認証の主体となる第三者組織は、内閣官房国土強靱化推進室が作成するガイドラインに沿って認証の要件を設定。要件を満たす事業者を国土強靱化貢献団体として認証する。認証を受けた事業者は「レジリエンス・マーク(仮称)」を自社の商品や広告に使用できるほか、認証を条件とする公的なインセンティブを受けられるようにする。
貢献団体には、事業継続に関する要件を必須とした上で、任意で社会貢献を行うことも求める。事業継続の関係では、事業継続計画を策定していることに加え、重要施設の耐震化・浸水対策などを行っていることを要件とする。社会貢献では、国や地方自治体と災害協定を結んでいたり、ボランティア休暇制度を設けて従業員が被災地の支援活動を行った実績があることなどを求める。
国土強靱化推進室では、13年時点の国土強靱化に関する民間市場が、住宅の耐震化やバックアップ施設の整備などの「コア市場」で8兆円、関連市場で4兆円あったと推計しており、この規模は公的支出の12兆4000億円とほぼ同じ規模だ。
認証制度などの施策が十分に効果が挙がれば、20年のコア市場における市場規模は11兆8000億円から13兆5000億円に拡大し、13年時点から4〜5兆円を上乗せできると見込んでいる。
提供:建通新聞社