政府は、3月上旬にも通常国会に提出する「第6次地方分権一括法案」で、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の供給目標などを定める「高齢者居住安定確保計画」を市区町村が策定することを認める。高齢者居住安定確保法で都道府県に与えている計画策定の権限を市区町村にも移譲する。計画を策定した市区町村に施設面積などの登録基準を強化・緩和することを認め、地域の実情に沿ってサ高住の供給を誘導できるようにする。2017年4月1日の施行を目指している。
高齢者居住安定確保計画は、サ高住や老人ホームの供給目標や目標達成に向けた方針などを盛り込んだもの。計画を策定する都道府県には、高齢者居住安定確保法で定めるサ高住の登録基準のうち、施設面積、構造・設備などの基準を強化・緩和することを認めている。
15年7月時点で計画を策定している都道府県は40都道府県。一方で、市区町村の中でも10市が計画を策定しているが、計画はいずれも法定ではなく任意の計画であるため、市の方針で登録基準を強化・緩和することはできない。
サ高住をめぐっては、11年の制度創設以降、供給戸数が急速に伸びた反面、公共交通機関や医療機関までのアクセスが悪い地域への立地が集中するといった課題も指摘されている。第6次地方分権一括法案が今通常国会で成立すれば、市区町村が策定する高齢者居住安定確保計画も法定計画に位置付けられ、市区町村が自らの判断で登録基準の強化・緩和を行うことができるようになる。
さらに、国土交通省は16年度から市区町村のまちづくり方針との整合を図ることを補助金の交付要件とする方針。権限移譲と補助金交付の重点化により、市区町村の意向がよりサ高住の供給に反映できるようになる。
提供:建通新聞社